巻頭言-より良い働き方について①

日本人は「働きすぎ」といいますが、それが特性なんだから【もっと働いたらいいじゃん】と思います。

いきなり飛ばした論調になってしまいましたが…わざとです。実際、世界を代表する長寿の村は「重労働」ハンパないようです。シラヌス(イタリアのサルディーニャ島)の人とか。そんなよシラヌーっスとか言わないでくださいね(笑)
いまの日本においては、そこよりも問題はケアをしなかったり、そちらへの意識・時間・エネルギーが社会全体的に弱いことだと思います。疲労したまま働くから「効率が悪い」。

日本は「労働生産性」がOECD加盟国中、最低水準らしい(34カ国中24位、先進国G7の中では最下位。20年連続)。
こんなに皆、子供の頃からがんばって勉強したり、仕事して、鬱になったり、肩こり、腰痛なのに、結果出てないらしいです。どこの国より働いてるのに、ですよ。

先日、僕のお客様(ITエンジニアのサラリーマン)がヒマラヤ登頂成功しましたが、命がけで危機管理したと思います。登山でも、高い山、危険な山であればあるほど、準備や計画、体のケアに余念がないのは当然ですよね。運転でもスピードを上げればそれだけ事故に気をつけなければならない。

2010年代は、ストレス社会への反動で、リラックスとか、ゆったりとか、癒しとか、無理しない、とかそういうワードが蔓延しましたが、それだけだと、マイナスになった心身をゼロに戻すだけで、プラスにはならず、変化のスピードの速い現代に対応してしてはいけない、と思います。

現代のストレスという「進撃の巨人」を甘くみてはいけません。というか、ちゃんと現代のストレスに向きあって生きる気力を失わせるくらいの強者(つわもの)、という見方が正視眼かと思います。


10年代は演劇において(急に演劇?かもですが演劇は社会を表すという意味で)「ヴァルネラブル(傷つきやすい・脆弱)な身体」という言われ方、また、そういう俳優が流行った感じがありましたが、もう古い。それは“ストレスをちゃんと受け入れてる”という意味で、好感があったのだと思います。

それだけでは2020年代は弱いと思います。これからは、ストレスや苦境にめちゃくちゃ強いレジリエンス(回復力、逆境力の高い)な心身をつくって、進化していく方向がかっこいいと、思います。メタヒューマン的な。ニーチェのいう「超人」的な。ちなみに、僕は中学の卒アルの“将来の夢"「超人」でした(笑)。半分ボケで書きましたが、あながち間違ってない。そういう方向に進んでいます。書いたり、「口に出すとそうなる」と聞きますが、そのようですね(笑)

話が飛躍してきた感があるので、元に戻していきましょう(汗)。
ともかく、休息やリラックス、メンテナンスの科学をもっと社会が取り入れて、結果は高みを目指していく。
【高み】といっても、GDP(国内総生産)だけではなく(経済至上主義はもう“飽き飽き”ですから)、(それも含めた)【価値】ですね。


幸福度数(GNH)なんていうのもありますね、プータンが高いとかいう。僕は、経済価値は否定しません。戦後頑張ってくれた先輩たちは素晴らしいと思う。ただ、それは価値の一部です。僕の価値論は、それに「健康」と「利他」が入ります(ちなみに利他的な脳は、前頭葉が活性化されるので、セロトニンやオキシトシンなど幸せホルモンの分泌力高まると考えられます)。健康であれば、より良く働けます。より良く働ければ、裕福になります。裕福になれば、健康に使えるお金も増えます。故に経済、健康、利他の価値とは、シナジー(相乗効果)です。


受験でいうと、国立大入るのに、数学だけ高くても不合格で落ちます。あくまで総合点ですよね。経済だけでは、「総合的に世界ランク低くて当たり前」です。
だから、日本人の“働きすぎ”の特性を、否定するんじゃなくて、生かせばいいと思います。それが何百何千年前から先祖たちが血と汗で培ってきた文化・DNAへの恩返しでもあると思います。

「めちゃめちゃはたらく日本人」てかっこいいじゃないですか!それでいて健康で、利他的でって。だから、これからはメンテナンスの科学、ケアの科学なんです。コンディショニングとトレーニング、食事と休息の科学です。
大衆の意識が変わらないと、声をあげていかないと、企業は「法律さえ犯していなければ」と心身にに悪いものやことを社会を蔓延させて知らん顔してますよ。

ダウンタウンでいうと、松っちゃんの飛ばし過ぎの異世界のボケに、浜ちゃんの強い突っ込みがあるから現実に戻り、笑いが成立してるわけです。どんなに人生で飛ばし(ボケ)ても、健康という突っ込みがあれば、成立します
だから、ボケ担当の芸人て実はめちゃくちゃ真面目、馬鹿でない、とよく聞きますよね。バランス取れてるわけです。でなければ、病気になります(カーブを曲がりきれず病気になるアーティストも多いと思います)。

大事なのは、遠心力と求心力のバランスです。自分自身の芯がしっかりしていれば、時代や社会や仕事や人間関係に振り回されません。それは、信念や哲学だけでなく、カラダの芯をつくっていくことも大事です。「心身一如」と昔からいわれるし、自分の体験からも、カラダと心は連動しているので、カラダの側からアプローチしていくのはとても大事と思います。これは、診察とお薬出すのがメインの仕事の、お医者さんや、カウンセラーさんにはできないですよね。トレーニングやコンディショニング(ストレッチ・マッサージ)は。

もう一度繰り返します。日本は「労働生産性」がOECD加盟国中、最低水準です。もちろん、労働生産性についてもいろんな方がいろんな意見を言っているのは知ってます。

例えば、「労働生産性=付加価値(粗利益)÷人数」なので、雇用引き下げより賃金引き下げをするワークシェアリング意識が高いとか。質がいいものを安くという文化とかあるので、国際比較はそのまま当てはまらないとか。東京と地方で差があるとか。


けど、世界に発表されてる数字は事実だし、やはり実感としても、疲れてる人、カラダ悪い人多いし、もっと効率よく、質をあげて、時間とお金の余裕が欲しい、と切に願っている人は多いと思います。医療費が国家予算ほどあったり、未来の子どもへ多額の借金があるのも事実です。病気になり、手遅れになる前に、ともどもに、自身を大事にし、カラダを癒し、カラダについて勉強し、鍛えて、質をあげていきましょう。

これだけ、医療費に税金使っている時代においては、国民の健康リテラシー(健康への知識や能力)をどんどんあげていくことが、敷衍して言えば「自分がどんどん健康になっていくこと」が、そのまま社会貢献になるのです。

つづく