巻頭言-より良い働き方について②

ぼくは、もともと演劇で演出や役者をやっていて、役者としての先生に所属している劇団の座長の新藤栄作がいます。
彼は、武道家のように演劇を求道している人で、解剖書を開き、筋肉や骨を解説しながら、立ち方、声の出し方、のコツ(コツの語源はまさに骨ですが)から演劇を稽古する人なんですね。いま僕が、トレーナーして活動しているのも、多分に影響を受けているのだと思います。最近売れてる、スタンフォード式IAP呼吸法も、僕が知る限り、それに近いことを独自の手法で十数年前からやってます。

で、サッカーとか水泳とか、格闘技とか、各トレーナーには、その人自身がやってきたスポーツが指導する際の強み、としてあると思います。もちろん根本の機能解剖学には、普遍性がありますが。ぼくの場合は演劇です(野球、サッカー、テニス、カラテ等もやってきましたが)。演劇は、最強だと思ってます。

演劇は、精神的・肉体的にきつい。その役の喜怒哀楽に共感し、同苦して、なりきり、長いセリフ覚えて、表現して、その時々で変わる生ものの共演者のアクションにリアクションし、長期公演に耐え、ダンスがあったり殺陣したり歌ったりもします。解像度の高い微妙な動き、大げさな表情筋や…長くなるのでこの辺で。

ともあれ、そんな演劇の訓練法の財産は、役者だけでなく、一般の方にも通じると思ってきました。なんてったって演劇は、人生の凝縮版で、シェークスピアが「人生は舞台、人は皆役者」(戯曲"お気に召すまま”より)といってるとおりです。そしてそれは真実と思います。当店の理念は、地球という舞台で人々がいい演技を出来るためのお手伝いをしたい、そのためのコンディショニングやトレーニング食事や休息のアドバイスをして、パフォーマンスアップしてほしいというのものです。ですので、メニューが足先から顔まで、体全体的で、発声まで含んでいるところが特徴的です。

ところで、なぜ、日本は労働生産性が低いのだと思いますか?疲れが溜まって、ストレスで体が疲弊してる人が多く、力を発揮できてないのでは?と、前回述べましたが、それは組織集団を運営してる側、リーダーたちのミスである、と思います。日本人は、集団プレーが得意で、その才能で世界トップレベルの経済大国に短期間でなってきましたが、そこに隙もあったわけです。

運営してる側が、もし、自分や自分たちの組織や、国家の成果ばかり考えて、そこの構成メンバーを「駒」のように考えて、1人ひとりをヒューマニックに大事にしてこなかったなら、その結果、かえって組織がつぶれたり、病人が多く、失われた○○年が延び続けてる日本になってしまうのではないかと思います。

社員や国民をひとりひとりを大切にして、その労働のさせ方を真に、科学的に、考えてこなかったからでは?といったら言い過ぎでしょうか。スポーツでいうと、巨人の星とか、柔道部物語とか、カラテバカ一代とか。魁!男塾とか(スポーツじゃないか)、みたいに、気合いと根性で、それを真似してカラダを鍛えても無理がたたるわけです。現実にあれをやったらカラダ壊して、結果は出ません。とくにストレスの多い現代は。

ちなみにこれらは全部僕が愛読してきたマンガです(笑)。今でも、その精神は大好きです。日本的。サムライ的。うん、間違ってない。けど、その上で、科学的に行かないと、現代は勝てない。敵もレベルアップしているからです。敵って誰やねん?笑。んー現代です。現代という的には。


しかし、そうして、権力側を批判するしているだけでもダメで、我々庶民の側も、勉強して、自立していかなければなりません。いま、(スティーブ・ジョブスの夢であった)コンピューターをひとりひとりが持てる時代になったのに代表されるように、時代というのは、国家とか大企業とは大きな集団組織から、どんどん民主化の方に進んでいると思います。

数百年前よりだいぶ、民衆の権利と自由は増えました。しかし、よくいわれるように、権利や自由には責任が伴います。
いわゆる高度情報社会においては、民衆の側も自立して、自分で選択して、判断するリテラシーを得ていかないといけません。と、よくものの本に書いてありますが、健康もそうです。

いろんな人や売り手がいろんな情報を発信する時代において、自分で選択し、判断して、疑って、信じて、そうして自分を濾過して精製された情報をまた社会にも、発信していく。さすれば、悪いもの、粗雑なものは消え、善いものが残っていくと思います。


ともあれ、この歴史的民主化の流れのなか、21世紀の発展の原則は、民衆自身が力をつけていくこと、賢くなっていくことが、大重要であり、生命線です。バカであれば、衆愚になっちゃえば、損害を食うのは自分たち自身なのです。たとえば、つまるところ労働生産性が低い日本になったのは、誰のせいでもない、我々民衆自身のせいである。だから賢くなって、不健康な流や勢力には抗い、効率も含めた価値創造力をあげて、労働生産性もあげてリベンジし、民衆自身でより良い、楽しい国をつくっていこうぜ、って話しですね。

自分自身はその一助になれれば、と思います。メンテナンスをして、知識を与えて、啓蒙して、いい生活習慣を内から、あるいは外(環境)から与えて、パーソナルトレーニングをハリウッドスターや金持ちだけが受けるものではなく、民衆が受けれるものにしたい。民衆こそ、スターなのですから。今皆さんの脳裏には中島みゆきの地上の星が流れていることと思います。

ご静聴ありがとうございました。