演劇系パーソナルトレーナーについて④

あとは、演劇は個より、関係性の芸術です。もちろんスポーツにも、集団でやるチームスポーツはたくさんありますが、それでもまだ個が目立つことは可能ではあります。生で観客としても、テレビでも個の選手を注目して観ますよね?

役者の場合はどうでしょう?より個が薄くなると思います。物語全体を追うので、観ているうちに、目当ての役者は、すーっと登場人物に溶け込んでいく。またそういう役者が上手いと言われるわけです。つまり演劇はより関係性の芸術(スポーツ)であるといえるわけです。

関係性というのは、コミュニケーションてことです。人と人の間と書いて人間です。つまり人間は社会的動物です。人間同士のコミュニケーションがなくして人間ではない。日常もそうです。人間関係の連続です。人間関係なければ、言葉も喋れてない。

「人間関係こそ最大の喜び、真の贅沢」とはサン=テグジュペリの言葉ですが、最大の苦しみでもあると思います。その人間関係を上手くしていく、また対人間だけでなく、物体や音や風や光や空気など自然との関係性も上手くやっていく、価値を創っていく、これが真の「身体トレーニング」でありこれが「演劇系パーソナルトレーナー」なのであります。

と、かっこよく締めたつもりですが、集団トレーニングの素晴らしさ、関係性トレーニングの大事さを述べたのに「パーソナル」って(汗)!いい直します。これが、演劇系トレーナーなのである。

…ま、パーソナルも集団も両方できるトレーナーが良いってことで。ちなみに、ジムとかのスタジオプログラムが=(イコール)そのまま関係性トレーニングってことではないですよ。集団トレーニングとは呼べるかもですが。参加者同士のコミュニケーションはないですから。

しかし、逆に言えば演劇系はパーソナルできる人が少ない。解剖学を元にトレーニングやコンディショニングをしている人は少ない。先ほども述べたように、まず全体(関係性)が大事ですから。けど、その全体の完成も、心身が十全な個があってのことですがね。

その点も、西洋と東洋の違いですかね。西洋は個人主義。だからパーソナルトレーナーが生まれたのかもしれません。日本は、集団主義。組織集団力で、世界と戦ってきました。ですが、それもいき詰まりを見せ、個を大事にする方向に行ってる気がします。SNSとか時代の流れもあります。けど、僕はその上でやはり、集団の力こそ、すごいと思います。

集団は、掛け算で力を発揮できる。脳がニューロンとシナプスが繋がって頭が良くなっていくように人間同士が繋がっていくことで、社会という脳が進化していく。弱いホモ・サピエンスがほかの動物に勝ってきたのも、この集団力ですから。時代の流れとは言え、この基本を見失ってはいけない。

つまり、これからの理想の組織、理想の世界は、自立した(強い)個と、その上での集団力であると思います。つまり、今後はパーソナルで個をエンパワメントしていくとともに、集団(コミュニケーション)トレーニングをしていくことで社会は進化していきます。それができるのが、「演劇系パーソナルトレーナー」なのである(きまった!)。

おわり